臺鐵便當
18世紀後半にイギリスで産業革命が起こって以来、鉄道は私達の生活に欠かせないものとなってきました。
そして列車の旅に欠かせないのは駅弁。
日本で始まった駅弁という風習はやがて海を越え海外へも。
今回は台湾における駅弁について、日本との繋がりも深い歴史とともにご紹介していきます。
日本で鉄道が開業されたのは1872年。
それから13年後の1885年7月16日に初めて駅弁が販売されました。
台湾における駅弁の歴史は日本統治時代に遡ります。
1912年には電車内で食事ができる「一等食堂車」がありましたが、決して安くなく、一般車には食事が提供される事はありませんでした。
その為、乗客は駅近くのお店で食事や飲み物を購入し乗車し車内で食事をするように。
そして1949年に、高雄、台中、台北、松山、花蓮5つの駅で駅弁「臺鐵便當/タイティエ ビェンダン(台湾鉄道弁当)」の販売が開始されるようになり、利便性の良さから徐々に利用者が増えていきました。

この「弁当」の概念は元々、日本統治時代に日本から伝わったもの。
台湾では「便當(ビェンダン)」言い、この漢字表記は、戦前の日本で使われていた複数の表記のうちの一つだそう。
(中国では盒饭(ハァファン)、香港では飯盒(ファンハァ)と表記されます)
臺鐵便當の基本的な構成は、排骨(豚スペアリブの煮付け)と滷蛋(煮卵)、豆腐干が一個ずつ白米の上乗せられ、そして沢庵漬けや高菜が添えられています。
近年では「タイ風チキン」等新しいスタイルの臺鐵便當も販売されるようになりました。
ですが、せっかく台湾に観光で訪れるのであれば伝統的な臺鐵便當を食べることをオススメします。
鉄道の長旅でも傷まない実用的な台湾の伝統的な献立は、時代が変わろうとそのまま。
一口食べれば販売当初の完成度の高さには驚かずにはいられません。
厚みのある排骨の甘いたれと白米が絡み、箸休めのしょっぱめの高菜。丸々入った滷蛋は一口かじると台湾ならではの美味しい風味が口に広がり、思わずガツガツとかきこみたくなります。
価格も昔から変わらずほとんどの店舗では60元から80元(約300円)で購入することができます。
台湾鉄道の運賃同様、便当も長年にわたって値上げをしていないのです。
臺鐵便當本舗
臺鐵便當はいくつもお店が展開されていますが、有名なのは「臺鐵便當本舗」。
1年間およそ1000万食を売り上げると言う、台鉄弁当の駅弁は台湾の駅弁の代表格。
味わい深い駅弁はリピーターを増やしています。
1号店は台北駅構内の台鉄切符売り場の近くにあり、他にも中山地下街、桃園MRT駅に向かう途中にも。
勿論台北以外にも花蓮駅、板橋駅、桃園駅、台中駅、高雄駅でも購入する事ができ、それぞれの地域限定の駅弁も販売され見逃せません。
日本で臺鐵便當を食べたい
台湾に行かずとも臺鐵便當を食べたい!そんな方の希望を叶える店が東京の錦糸町にあります。
「劉の店 」という台湾料理のお店では臺鐵便當が昔ながらのステンレス弁当スタイルで提供されます。
ノスタルジックな弁当箱を開けると排骨と滷蛋、そして高菜。二段構造のお弁当箱の下の段には茹でたキャベツと白米。これぞ臺鐵便當!
そして嬉しいのが独特の強い八角は抑えられ、日本人にも食べやすいようにアレンジされています。
このお店では他にも魯肉飯や牛肉麺を初めてとした台湾料理そして台湾ビールがメニューに並び、台湾に行った事ある方は懐かしさを感じる事でしょう。
店舗情報
臺鐵便當本舗
Open:8:30-なくなるまで
Access:台湾台北市北平西路3号
台北駅1階 西3門すぐ
劉の店
Open:11:30-15:00 / 17:00-23:00
Tel:03-5600-2118
Access:東京都墨田区江東橋3-12-5 マスカットビル1F
JR錦糸町駅(南口)線路に沿って秋葉原方面 徒歩1分